20代のころ、ムチムチやテカテカが嫌だった。丸い頬も、丸い鼻先も、張った腿も嫌いだった。できるなら、一日でも早く、頬が入らになり、全体的に筋が目立つようなフォルムになりたかった。
職場のパートタイマーさんは、私より20歳も年上だった。若いっていいわねという誉め言葉(多分)に対して、いいえ!私、早く枯れたいんですよ、枯れた大人の女性に憧れるんです!と、生意気にも、無神経にも、恥ずかしげもなく言い切った。
ぇえ~!もったいないことを~、と叫びに近い声を上げていたパートタイマーさんは、ほんとうに優しい方だったな。
そして、現在、50代。
思い知るのだ。頬は平らを通り越し、削げてしまうことを。ちょうどいい塩梅には、留まってくれないことを。筋が目立つのは上半身ばかりで、実は、下方へと移動しただけってこともあるということを。
年を重ねれば、美しく枯れることができるだなんて、なんというお馬鹿さんなッ!若い私が憧れたのは、人生を自分で切り開いてきた女性たちだったのに。彼女たちの生き様こそ、知るべきだったのに。
先日、庭の草取りをしたとき、葉脈(と言っていいのだろうか?)だけになったアジサイを見つけた。
この美しさ。
瑞々しく咲いている花は、文句なしに美しい。ハッと目を惹くし、一瞬で気持ちが明るくなる。
ドライフラワーを通り越した、このアジサイには、思わず目を見張ってしまう。何に惹かれるのか、言葉が見つからない。ともかく、小箱にそっと、保管した。
諦めてない。美しく枯れるのは、まだまだこれから。
久しぶりに走ったら、ぽちゃぽちゃしてるとこがあるのだから。笑